A邸工事監理日記


2003/08/21
        遣方(やりかた)立会い
  2003/08/05地鎮祭終了後に施主さん立会いで地縄張りを行う。いつもながら地縄時の建物は狭く感じられてしまいますが、これから工事の進捗に合わせてどんどん広く大きくなります ・・・引き続き近隣に挨拶廻り。     
本日は、B.Mを設定し建物GLの確認と敷地境界からの離れ寸法を確認する。
 
2003/08/23          根切り底の確認
コンクリートベタ基礎の根切り開始。根切り幅と深さ、地盤の状態を確認。さあ、いよいよ工事開始って感じです。地盤の状態も良好なので特に問題なし。現場代理人さんと基礎配筋の確認と打ち合わせを行う。
2003/08/23           砕石の施工
砕石、目潰し砂利を施工中。一通り敷き詰めたらランマーにて突き固める。このランマー突きをすべてにわたって充分に行う。
2003/08/27           捨コンクリート
砕石、目潰し砂利をランマーで充分につき固めてから捨コンクリート打設。次に、防湿対策からこの上部全面にポリスチレンフィルムを敷きこむ。今回施工しているベタ基礎は根切り深さを鋤取り程度ですませられます。布基礎よりも手間が掛からなく耐力も大きいので最近では多く用いられています。
2003/09/02

          基礎配筋検査
基礎底盤の配筋とコーナー及び換気口廻りの補強筋の確認をする。かぶり厚さを確保するためスペーサーをしっかり入れることを確認する。型枠工事の前に設備配管の工事を済ませるよう打ち合わせを行う。浴室・洗面所・キッチン廻りの配管を確認する。施主さんが仕事帰りに現場を見られて、「地縄時より大きく感じられますね・・」とおっしゃっていました。
2003/09/10
         基礎コンクリート完了
コンクリート打設時にはアンカーボルトとホールダウン金物用アンカーの設置位置を設計図に基づき正確に施工してもらう。アンカーボルトの位置がずれると柱や筋交いの設置に悪影響を及ぼすので慎重な施工が必要です。型枠を外してコンクリート面を検査。浴室の立上り部分にケレンとジャンカが少し見られるので補修することに。その他はOK。
2003/09/24             建方(1)
さあ、いよいよ建方と気合を入れていたら週末の台風襲来。雨・強風には勝てず、本日に延期となりました。・・・本日も雨模様の天気予報ですが午前中は曇り日の涼しい建方日和。職人さん達も青いハッピを着て頑張ります。私は手出しをしても邪魔になるだけなので、ただ眺めるばかりでした。申し訳ないので〜す。
2003/09/24             建方(2)
写真は午前11時頃の様子です。2階の梁・桁をセッティングしています。クレーンで吊るされた梁はジョイントするべき桁のところでピタッと止まり、職人さんによってリズミカルに組まれていきます。本日は風もなく静かなので建方ピッチはあがります。建物廻りはすでに防護ネットが張られて安全に作業が行われました。
2003/09/24             建方(3)
午後2時少し前に上棟しました。パラペット部分を立ち上げて屋根の垂木も掛けることができました。柱−梁ジョイント用の羽子板金物などで柱頭部・柱脚部を固定し建物を安定させます。幸いここまで雨は降りませんでしたので作業ははかどりました・・・本日は屋根野地板の施工まで完了できました。これで雨が降っても一安心です。
2003/10/02            軸組み(1)
上棟から1週間経ちました。筋かいを構造図の通リに入れていきます。柱、筋かいを補強金物(ホールダウン金物、CP-T、BP−2)で固定します。この工程は建物の構造強度を保つのに充分慎重な工事が必要となります。一見すると工事が進んでいないようにみえますが予定通リの進捗です。写真は2階個室からリビングの吹抜を見下ろしたところです。
2003/10/02            軸組み(2)
屋根下地の野地板とルーフィング工事が完了しました。写真はリビングから2階個室を見上げています。小屋組みがはっきりわかります。リビングと2階個室は吹抜けで繋がっていて、開放的で広々とした空間が想像できます。
2003/10/02            軸組み(3)
1階コート廻りの写真です。床下地の根太を組んでいるところです。根太は反りや節の少ないものを選んで施工します。・・・コート部分には足場が置かれていて、まだ完成時のイメージにはほど遠い感じです。でも、これからどんどん変化していくのが楽しみです。
2003/10/09          タイベックシート張り
軸組みがほぼ完了し、タイベックシートで建物を囲い込んだ状態です。アルミサッシの取付けも並行して行っています。箱型のシンプルな外観になります。住宅街の中ではシンプルな外観ほど目立つかもしれません。・・・ある人は「屋根がない?」と言っていましたけど・・・ちゃんと説明しました。
2003/10/09           電気配線工事
タイベックシートで囲い込んだので、ある程度の風雨はしのげます。内装下地、設備配管が始まりました。写真は電気屋さんが配線工事をしているところです。インターネットの普及とともにパソコン用のLAN配管工事も増えているとか・・・無線LANと有線LANではどちらを選択しますか?・・どちらかなぁ!?
2003/10/15         床下地・天井下地完了
アルミサッシの取付けとタイベックシートが完了し、内部は床下地のコンパネが張られ天井野縁が組まれています。電気配線もほぼ完了しました。これから先は、サッシの額縁と建具枠の加工取付け、壁ボード張りの工程に進みます。外部はサイディング工事が来週から始まる予定です。・・クライアントさんには現場の様子をメールを利用してリアルタイムでご報告しています。工事の現状や設計変更、業種間の打合せ事項などの確認と報告です。「工事監理記録」といういささか重いタイトルですが、内容はだれにでもわかる簡単な表現にしています。
2003/10/24         外壁サイディング張り
1階外壁部分のサイディング工事が始まりました。割付けを確認してスタート。2階外壁はサイディングを張り終わってからガルバリウム鋼板角波張り。タイベックを通して内部からの光が漏れてきます。このまま、ポリカーボネートで覆っても面白そうですが・・・21条地域なので無理か?
2003/10/24        屋根ガルバリウム鋼板瓦棒
ガルバリウム鋼板瓦棒の屋根です。コストパーフォーマンスの良い素材でメンテナンスフリーです。トップライト部分はペアガラスをアルミ押縁止めとしますが、取付けはこれからです。軒樋の形状・色についても、リビングから直接見えるので慎重に選択しました。将来、この屋根部分はテラスと緑地になるかも・・?
2003/11/01          床フローリング張り
リビングの足場が外されて床フローリングが張られていきます。何やら人気商品のフローリングらしく現場搬入に時間がかかったとか。ちなみに、朝○○ッドテックのサクラフローリングです。コストパーフォーマンスの良さや色合い、溝がないのが気に入っています。今年7月からシックハウス対策が義務付けられました。建材に含まれるホルムアルデヒドの含有量によって3段階に分類されます。その中で最上級(含有量ゼロ)のものが☆☆☆☆印となっていて、当然ここで使用しているフローリングも最上級☆マークです。
2003/11/01            色彩計画
本日、クライアント様に現場までお出で頂き事務所で作成した色彩計画書をご説明しました。色彩計画は仕上げ材の色や品番を決めることです。設計段階でおおよそ決めていますが、実際の空間(工事途中ですが)に入って光や空間の拡がりを再確認してから最終決定します。・・・住宅の色彩計画で重要なのは、スケルトン状態の建物完成時をイメージするのではなくて、椅子やテーブル、ソファーなどのインテリアを完備した住空間をイメージすることです。・・・派手な絵柄クロス?は失敗のもとです。
2003/11/01            大きな窓
・・・クライアント様からのメールによるとインテリア雑誌・家具カタログなどを集めて検討しているとのこと。おおいにイメージを膨らまして楽しんでくださいね。もし、迷ってしまったらアドヴァイスをご用意しています。写真はリビング上部のハイサイドライトです。木造ではガラスの大きさが限界に近く、取付けに6人がかりでした。大変明るくダイナミックです。
2003/11/11            造作収納
子供室の壁面に設けられた造作収納の一部です。カウンターも付きます。収納は現代住宅にとっては大切なものです。みなさんはどのくらいの“モノ”を持っているんでしょうか?・・・引越しをする時に荷造りしますが、よくもこんなに“モノ”があったんだと改めてビックリすることがあります。日頃良く使うモノ、全く使わないモノが押入の奥から出てきます。・・・収納方法や収納量は設計段階で充分に検討したいもんですね。
2003/11/11            建具枠廻り
メーカーハウスや工務店さんの設計する住宅では、室内の木製建具・枠まで既製品を使用します。勿論、既製品ではいけないということではないんですが、特殊な建具やデザインした建具を使用する場合には建具屋さんに製作してもらうことになります。・・・A邸の建具・枠廻りは全て特殊な建具と納まりです。建具屋さん・大工さん、面倒かけてごめんなさい。m(__)m
2003/11/18            外壁下地
ガルバリウム鋼板角波を施工する前に、下地材のケイカル板を張りました。21条地域ということで外壁の延焼のおそれのある部分は下地を準不燃材にしなければなりません。写真はケイカル板張りが完了したところですが、このまま撥水材塗布の仕上げとしても面白いですね。パラペットの笠木がないのもすっきりして良いのですが・・・
2003/11/18           レンジフード下地
キッチンのシロッコファンを取り付けました。まだこれで仕上がりではなくてステンレス板で廻りを囲います。・・・さぁ、どんなデザインになるのでしょうか?キッチンキャビネットもオリジナルデザインで、オープン型のカウンター付きキャビネットです。リビングと一体化した機能的で楽しいキッチンです。・・・内装工事も壁・天井のボード下地がほぼ完了し、来週から塗装・ビニールクロス貼りの予定です。
2003/11/28       ガルバリウム鋼板と船舶丸窓
外壁のガルバリウム鋼板と船舶用丸窓のフードです。元来、船舶丸窓は外側に取付けるものですが、住宅では防犯上の理由から内側に設置します。そのため納まりを良くする目的でフードを付けます。さらに、網戸を設けて完成です。この船舶丸窓はアルミ鋳物で重厚な仕上げにできているので人気アイテムの一つとなっています。
2003/11/28        内装下地ボード貼り完了
開口部の枠廻りと壁・天井の下地ボードが完了しました。ほとんど枠を見せないディテールなので枠加工には手間がかかります。・・・実は、シンプルに見せる納まり程、ゴテゴテの重苦しい納まりより難しいのです。極限までシンプルにしたいのですが・・・職人さんの腕次第か?!ちなみに、ここの大工さんはただものではありませんでした。いい仕事してました!
2003/12/05           外壁塗装完了
隣家越しに建物東側とコートを眺めました。外廻りの足場を外して、やっと外観が見えてきました。外壁をブラックとホワイトで塗り分けることで領域を設定しています。イメージ通りに仕上がっているのでホッと一息。この後、プライバシー保護のためコートは板塀で囲います。ここは、ウッドデッキを張った半屋外空間として成立し、生活空間の中心になるのでは・・・と期待しています。
2003/12/05             玄関廻り
玄関はガルバリウム鋼板小波を横張りにしています。ブラックの外壁にガルバリウムのシルバーを挿入することでエントランスの領域を決めています。ドアはヒバ縁甲板で製作中です。既製品のドアでは味わえない個性的な表情の玄関ドアです。・・・アルミ既製品のドアはデザインが酷すぎますよね。アルミという素材を使用しながら木目調やらブロンズ調?これがアルミドア!というものが出てこないもんですかね。メーカーさんはデザイナーが不在なのかも?
2003/12/05          リビング・ダイニング
室内の壁・天井のビニールクロス貼りが完了しました。階段がセッティングされてリビング・ダイニングの完成形に近づいてきました。・・・本日はクライアントさんが偶然にも現場にいらっしゃいました。仕上げ工事に入ってどんどん様変わりする建物にびっくりされ、「内壁が仕上がり、思っていた以上に明るいですね。」とおっしゃっていました。・・・キッチン・造作家具が入るとさらに一段と良くなりますよ!・・とご説明。
2003/12/05            トラス階段
鉄筋で製作したトラス階段が搬入されました。溶接歪が生じるのが不安材料でしたが、施工図を起こし綿密に打合せした甲斐あって満足すべき仕上がりになりました。トラス材を塗装してから集成材の踏板を取付けます。このリビング・ダイニングになくてはならないパーツです。・・・このスペースでは、これ以外のデザインは似合わないように思います。
2003/12/05             子供室
ロフトのような子供室も壁仕上げが施され、造作収納が入るのを待つばかりです。リビングの吹抜けと繋がった開放的な空間です。・・・間仕切りはカーテンで調節します。カーテンを閉めるのは寝る時くらいかな?ほとんどオープンで使用されるのではと想像します。・・・船舶丸窓も存在感がありますね。
2003/12/10          玄関と玄関ドア
玄関にヒバ縁甲板のドアが付きました。勿論、職人さんの手作りです。その辺の既製品とはちょっと違いますよ!木の肌合いが直に感じられますね。玄関はアルミの庇を取付けて完成です。あ、そうそう・・・皆さんお気づきですか!模型では玄関周りを衝立状の壁で囲っていましたが、デザインと予算を考慮して着工前に中止となりました。
2003/12/10            サニタリー
浴室・トイレ・洗面所のサニタリースペースです。まだ、便器と洗面器が付いていませんが雰囲気だけは味わえますね。デジカメで撮影したのでチョット暗くなってしまいましたが、実際は上部がトップライトで非常に明るいのです。完成時には“アナログ一眼レフカメラのニコマートでビシッと撮影しますのでお楽しみに!・・・なに、ニコマートなど知らない?・・かなりの年代物ですから仕方ないですよね。
2003/12/10          リビングとコート
コートのデッキ材と板塀が未施工だと何かまとまりがありません。コートの足場を外して隣家から丸見え状態なので視線が外部に流れてしまうためか。内装工事終了後に施工予定です。ここが住宅の中心部となるので気を抜けませんね。J 建設のKさんガンバッテください!さあ、ラストスパート!!
2003/12/10            キッチン収納
キッチンの壁面収納がセッティングされました。やはり家具が納まると決まってきますね。手前ボード側にシンクキャビネットとカウンターが付きます。これにIHクッキングヒーターと食器洗浄乾燥機が納まりフルセット。すべて家具屋さん製作のオリジナルキッチンです。・・・システムキッチンとは異なる個性的なキッチンです。
2003/12/13         キッチン完成間近(1)
シンクキャビネットとIHヒーター・食洗機、そして照明器具が付きました。本日はキャビネットの引き出しの調整を行っています。ステンレス丸棒の引手を取り付け、いよいよ完成が近づきました。レンジフードはステンレスヘアーラインで仕上げました。既製品のセンターフードは価格が高いし、デザイン的にもこの空間に合わないためハンドメードとしました。
2003/12/13         キッチン完成間近(2)
階段に踏板が付いてキッチンもほぼ完成しました。居間からキッチン方向を見ています。床養生も外しサクラフローリングが見えています。2階部分に収納ボックスが付いて完成です。1/30模型写真の室内と同じアングルです。模型写真と比べてください。・・・空間的にはスタディー模型と同じようですが、やはり実際の空間は迫力がありますよね。
2003/12/13         キッチン完成間近(3)
シンクキャビネットとレンジフードです。このようなオープンキッチンの場合には、シンクキャビネットをシステムキッチンにすると室内空間と剥離してしまいます。システムキッチンのデザインと室内空間のデザインが合わないからです。・・・コストは?と心配される方にアドバイスをしましょう。設計を工夫することでシステムキッチンよりはるかに安価でできます。・・・ただし、デザイン力のある設計事務所の場合です。名ばかりの事務所では失敗しますので要注意!
2003/12/13          サニタリー完成間近
浴室・トイレ・洗面所を1室にまとめたサニタリーです。便器と洗面器が付いてほぼ完成です。ゆったりしたスペースでシルバー世帯になっても使い勝手で心配することありません。・・・まだ、クライアントさんはお若いのでまだ先の話ですが。浴室は船舶照明が付いて楽しい雰囲気を出しています。
2003/12/13        個室からリビング見下ろし
2階個室から1階リビングを見下ろしています。階段とワイヤー照明が空間をまとめています。ロフト的な個室の雰囲気がよくでています。吹抜け側に間仕切り替わりのカウンター収納が付いて完了。・・・コートのウッドデッキ張りと目隠し用の板塀を立てかけて竣工です。楽しかった工事監理も終了です。・・・続きは竣工写真を近日中にUPしますのでご覧ください。
2003/12/20           竣工写真予告
本日、竣工写真を撮りに行きましたが午前中は天気が良かったものの強風が吹き荒れ、正午過ぎから突然の吹雪。一部分撮影しましたが、本格的撮影は延期となりました。・・・実は、悪天候以外にもう一つ理由があります。コートのウッドデッキ張りと板塀が工事途中なのです。まだ未完成。・・という訳で、今回は竣工写真の予告です。リビングからオープンキッチンを見ています。この他にもたくさんの楽しめる空間がありますのでお待ちくださいませ。・・・そ・れ・で・は。

      


一級建築士事務所  島田博一建築設計室
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